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夜になると昼間受信できなかったラジオ局の電波がとどく理由

ラジオの深夜放送では、昼間には聞くことができなかった外国語のアナウンスや音楽番組が聞こえてくることがあります。何故こんなことが起こるのでしょうか? この記事では、地球の周囲を覆っている電離層と電波の関係等から分かりやすく理由を紹介しています。

夜になると昼間受信できなかったラジオ局の電波がとどく理由

地球の上空には、電離圏という層があります。

電離圏は、太陽光線(X線や紫外線など)の影響で地球の大気にある、分子や原子が電離したものです。

地上から上空に向かって送信された電波は、電子の密度が高い300km上空にある電離層で反射して再度地上に到達します。

電離層で反射して、地上や海水面に到達した電波は、電離層と同様に再度反射して、再び電離層に向かいます。このように電波は、反射を繰り返すため、球体の地球でも遠方まで到達できるのです。

ところが電離圏の層は、太陽光線の影響を受けるため昼と夜では、層の幅や性質が違います。このことが、昼間聞けなかった遠方の電波が、夜間になると届く理由です。

次に、昼間と夜間の電離層の状態などから、理由を紹介します。

昼間の電離層

電子密度が高くて電波の反射に寄与する電離層は、上空300km付近に形成されます。ところが、日中、最も太陽光線が強い時には、100km以下のところにも電離層が出来てしまいます。

100km以下に作られる電離層は電子密度が低い性質があります。電子密度が低いと、電波は反射しないで減衰するため、付近にある大気の分子に吸収されてしまいます。そのため、昼間は夜間のように遠方の電波が届かないのでしょう。

夜間の電離層

夜間には、太陽光線はさえぎられるため、100km付近の電離層は消滅してしまいます。そのため、夜間の電波は、何の障害もなく、電子密度の高い300km程の電離層で反射することができます。電波は、しっかり反射して再び地上に到達するため、昼間聞くことのできなかったラジオ放送を受信できるのです。

短波放送も、100km付近の電離層が消滅すると良い影響を受けます。夜間になると短波放送で、外国語を聞くことが出来るのは、このような理由からでしょう。

電波は全て電離層で反射されてしまうの?

電子密度の高い300km程の電離層は専門的にはF層、100km付近の電離層はE層と呼ばれています。

F層で反射するのは、短波(HF帯)までの周波数帯です。それ以上高い周波数の電波は、F層を突き抜けてしまいます。

F層を突き抜けて宇宙に逃げてしまう電波は、超短波(VHF)や極超短波(UHF)、マイクロ波(SHF)を使っているFMラジオやテレビ放送などの電波帯です。

まとめ

通常の電波(短波までの周波数帯)は、地球の上空を覆っている電離層に反射(屈折)して、再び地上に到達します。地上に届いた電波は、地上でも反射して再び電離層にぶつかります。電波は、このような反射を繰り返すことで、球体の地球でも、遠方まで伝わるのです。

電離層は、太陽光線によって地球の大気中の分子や原子が電離したものです。300km上空には、電子密度が高い電離層(F層)があるため、通常の電波は、反射しますが、太陽光線が強い日中は、高度の低い所にも電離層(E層)ができてしまいます。

E層では、電子密度が低いため、電波は反射しませんが、減衰して勢いをそがれ、付近にある大気に吸収されて消滅してしまいます。このようにE層の影響を受けるため、昼間は遠くまで電波が届きにくいのです。

太陽光線の影響を受けない、夜間はE層がなくなるため、通常の電波は、F層まで到達して、地上との間で反射を繰り返すことができるため、遠方まで届くのでしょう。

尚、電波が電離層などでは反射と記載しましたが、ここで言っている反射は、入射角を持って直進するため、同じ場所には戻りません。そのため、直進する電波は、丸い地球ですが反射を繰り返して遠方に届くのです。

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iyasaretaihito
子どもの時から、昆虫や恐竜、宇宙などに興味がある理科大好きな理系人間です。 会社は半導体設計関連会社に勤務して、60歳で定年退職後は趣味に没頭する、のん気なおじさんです。
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