電子レンジは、普段当たり前のように使っていますが、発熱の仕組みを知ることで食材に適した調理方法を選択できます。また、オーブンについては、意外に知られていません。この記事では、電子レンジとオーブンとの違いを調べて分かりやすく紹介しています。
電子レンジの加熱方法の仕組み
電子レンジは、電波の電気的性質を利用して加熱しています。
具体的には、波長の短いマイクロ波を使って水分子を振動させて発熱させています。電子レンジの加熱方法は、マイクロ波加熱と呼ばれています。
これに対して、電波の磁気的性質を利用しているのは、IH調理器です。
尚、マイクロ波の波長には幅があります。波長の短いマイクロ波とは、マイクロ波の中でも特別波長の短いものを使っているという意味です。
電子レンジは、水分子(H2O)にマイクロ波を照射して、電波の電解で水分子を動かします。電子レンジのマイクロ波は、2.45GHzの周波数です。ギガヘルツ(GHz)は、10の9乗ヘルツのため、1秒間に24臆5千万回も振動しています。
マイクロ波の周波数が極性変化するたびに電解の向きが変わります。そのため、水分子は、1秒間に24臆5千万回も向きを変えさせられることになります。
マイクロ波の電解によって動かされた水分子は、ぶつかり合って摩擦熱で発熱します。
つまり、電子レンジによる加熱方法は、食材に含まれる水分子(H2O)を1秒間に24臆5千万回も動かして水分子が衝突する時の摩擦熱を使ったものです。
電子レンジで加熱できるものとできないもの
電子レンジは、食材中に含まれる水分子が摩擦熱で発熱することを利用するため、水が少ない食材には不向きです。
加熱できないもの
ジャガイモや、サツマイモなどのイモ類や、ドライフルーツなどは、水分が少ないため、焦げることや、発火することもあります。また、卵やブドウのように周囲が膜で覆われているものは、発熱すると内部圧力が高くなって爆発してしまいます。このような食材は、電子レンジで加熱できません。
電子レンジとオーブンの加熱方法の違い
オーブン機能が付いている電子レンジは人気があります。
オーブンは、マイクロ波で加熱する電子レンジと違ってヒーターによる、赤外線で庫内を設定温度に加熱しています。
赤外線も、マイクロ波と同様に電磁波です。ただし、赤外線の波長は、マイクロ波に比べて短いため、殆どの食材の表面付近で吸収されてしまいます。
そのため、赤外線で食材を加熱すると食材は焼かれた状態になって、表面はカリット仕上がります。
これに対して、赤外線よりも波長の長いマイクロ波は、内部の水分子で発熱するため、食材は内側から温められるという違いがあります。
余談:石焼き芋が美味しい理由
石焼き芋は、小石を敷き詰めた密閉容器の上にサツマイモを置いて、容器の下から加熱することで調理します。
小石からは、遠赤外線が放射されています。遠赤外線は、容器内で反射するため、サツマイモ全体を焼きあげてくれます。赤外線の中でも波長が長い、遠赤外線は、表面よりも食材の深部で発熱します。そのため、じっくり時間をかけて焼き上げることができます。
石焼き芋は、時間をかけて焼くことで、でん粉の糖化が進んでサツマイモは最高に甘く成ります。
これが、石焼き芋が美味しい理由です。
話は大分それてしまいましたが、電磁波の波長が長いと、表面よりも内部が温められるということは、分かったでしょう。
まとめ
電子レンジは、電波の電気的性質を利用して、波長の短いマイクロ波で水分子を振動させて発熱させた調理器です。その為、電子レンジは、マイクロ波加熱と呼ばれています。
電子レンジの加熱方法は、食材に含まれる水分子(H2O)を、マイクロ波で1秒間に24臆5千万回も動かした(振動)時に生じる摩擦熱です。
電子レンジは、食材中に含まれる水分子が発熱するように調節されているため、水が少ない食材には不向きです。従って、水分の少ないイモ類や、ドライフルーツなどは、焦げることや、発火することもあります。また、食材の内側から発熱するため、卵やブドウのように周囲を膜で覆うものは、内部圧力が高くなって爆発の可能性があります。
オーブンは、マイクロ波で加熱する電子レンジと違ってヒーターによる、赤外線で庫内を設定温度に加熱しています。
赤外線も、マイクロ波と同様に電磁波ですが、赤外線の波長は、マイクロ波の波長よりも短いため、食材の表面付近で吸収します。そのため、食材の表面は、カリッと焼かれた状態になります。
電子レンジは、食材を内部から温め、オーブンは、食材の表面から温める特徴があります。