従来の電話では、距離や通話時間が長くなると高くなりますが、インターネットは定額料金で海外にもアクセスできます。この記事では、インターネットで通信費が安くなる理由を、インターネットが作られた背景などから、分かりやすく紹介しています。
なぜ、ネットは安く通信できるの?
国際電話をすると、料金は驚くほど高額です。電話は距離や通話時間が長くなると高くなります。
インターネットは、定額料金で契約すれば使用料が多くなっても、海外にアクセスしても同じ料金で対応できます。
インターネットは、何故そんなことが出来るのでしょうか?
インターネットが生まれた背景
インターネットは、ARPANET(高等研究計画局)やNSFNET(全米科学財団ネットワーク)の土台からうまれたものです。そこで働く研究者達は、少ない研究予算のやりくりの中で作りました。つまり、自分たちが使い易いような形で運用していたネットワークから誕生したものです。
研究者は、仲間同士の通信のため、電話のような確実性や規定速度の通信よりも、通信品質は落ちても安い方を選びました。
これが、最大限努力すれば、多少の通信劣化には目をつぶるという、ベストエフォート型の通信方式が誕生した背景です。
ベストエフォート型通信とは?
ベストエフォート型の通信は、通信回線の速度保証はできないけれど、最大限のサービスを提供するというものです。
ベストエフォート通信は、データをパケット単位にして送り出します。
そのため、ネットワークが空いている時には、多数のパケットを送信できます。
但し、ネットワークが混雑すると、他の通信データの間に、少しずつしかパケットを送り込めなくなります。その結果、遅延時間が増えてしまいます。
このように、ベストエフォート通信の通信品質は低いですが、通信回線を無駄なく利用できます。その為、通信料金は安くできます。
インターネットを安く運用できる理由
インターネットを安く使える理由は、インターネットが誕生した背景と同じです。
ネットワークを極力安く運用したいという研究者によって築かれた、ベストエフォート通信を採用したためです。
ベストエフォート通信は、パケットデータを送信することだけに専念しています。そして、それ以外の機能は端末のコンピュータに対応させています。
インターネットが安い、二つ目の理由は、従来の電話回線よりも、ネットに関わる設備を低コストで運用するようにしたからです。
従来の電話回線では、中継機能を交換機などに担わせていましたが、インターネットではルータで行っています。ルータは、電話の交換機に比べて安いため、ネットワークに関わる設備料金を大きく低減させました。
まとめ
インターネットが電話料金に比べて安く運用できる大きな理由は、2つです。
《1つ目の理由》
母体となったARPANETの研究者の求めたものが影響していました。
研究者は、最大限努力すれば、多少の通信劣化には目をつぶるという新しい考え方で、ベストエフォート型の通信を使っていました。
この考え方はインターネットにも引き継がれました。このような考え方が、通信料金を安くした、最も大きな理由でしょう。
《2つ目の理由》
電話回線では、中継機能や、その他多くのサービスを交換機に担わせています。これに対して、インターネットではルータを導入して、複雑な機能処理は、端末のコンピュータに担わせるという手法をとりました。
このため、インターネットは電話よりも安く通信できるようになったのでしょう。