記事ではTCP/IPのネットワークインターフェイス層を紹介しています。MACアドレスを中心に、PC初心者にも分かるように、IPアドレスとMACアドレスの意味や関係を例で紹介しています。人と同様に、通信にも住所や道順が必要な事が理解できます。
ネットワークインターフェイス層とは?
ネットワークインターフェイス層は、TCP/IPの第1層です。ネットワーク内で、データをやりとりするためのプロトコル(規約)として働きます。
ネットワークインターフェイス層は、ネットワーク内の機器を送受信するため、通信ケーブルや、コネクタ等を定めています。
TCP/IPのネットワークインターフェイス層は、OSI参照モデルの、データリンク層と同じような働きをしています。
通信データの送受信時の流れ
次に、通信データの送受信時の流れを紹介します。
データの送信時には、TCP/IPの第4層(アプリケーション層)から下位層の3層、2層、1層の順に、データを搬送します。
そして、受信者側のデータは、第1層のネットワークインターフェイス層から、2層、3層、4層の順に搬送されます。
送信データの流れとカプセル化
データを送信する際には、それぞれの階層で処理した情報を送信データに付加しながら送出します。この時に付加する情報は、ヘッダ情報と呼びます。
このように、前の階層の情報に、ヘッダ情報を付加して、次の階層に渡すことを、カプセル化と呼びます。
各階層のカプセル化の名称
データ送信時に、ヘッダ情報を読み込んでカプセル化をしますが、階層ごとに次の名称で呼ぶこともあります。
- トランスポート層のカプセル
TCPセグメント or セグメント - インターネット層のカプセル
IPデータグラム or データグラム - ネットワークインターフェイス層のカプセル
MACフレーム or フレーム
受信データの流れと非カプセル化
受信者側では、各階層で付けられた、ヘッダ情報を確認しながら処理を行います。処理を終えると、ヘッダ情報を取り除いて、次の階層に送り出します(非カプセル化)。
そして、最終段階のアプリケーション層では、データ情報だけになって利用されます。
MACフレームの内容
MACフレームは、MACアドレスを記述した、ヘッダ情報を、第3層のIPデータグラムに付加してカプセル化したものです。
ここで、MACアドレスとは、通信機器に割り振られている固有のID番号です。このID番号は、読出し専用のROM ICに焼き付けられていて、変更できません。(つまり、一つだけの固有番号です)
固有番号というとIPアドレスが思い浮かびます。このIPアドレスとMACアドレスの関係は、どのようになっているのでしょうか。
IPアドレスとMACアドレスの関係
ネットワークインターフェイス層は、MACアドレスで通信しています。MACアドレスと、IPアドレスの関係を、都庁に行く時の例で分かりやすく紹介します。
東京の都庁は、新宿にあります。 この都庁の住所(アドレス)は、IPアドレスに相当します。
でも、例え都庁の住所(IPアドレス)が分かっても、自分が今いる住所が不明ならどこを通っていけば良いのかわかりません。
例えば、今の所在地を東京都下の立川市します。
このケースでは、最寄り駅の立川駅から中央線で新宿駅に向かいます。新宿駅から電車で行くためには、都営地下鉄大江戸線で都庁前駅で下車すれば着きます。
この場合、最寄り駅の新宿駅や、都庁前駅等はMACアドレスに相当します。つまり、都庁の住所のIPアドレスは変わりませんが、経路や経由地(MACアドレス)を変更すれば、ルートは変わります。
実際のインターネットでは、経由地には、ルータがあります。ルータは送信先のIPアドレスを元にして、経由地にあるルータのMACアドレスを割り出します。
導かれたMACアドレスは、MACヘッダに書き込まれて、パケットを送出します。
以上が、立川市から都庁に向かう場合を例にした、IPアドレスとMACアドレスの関係です。
まとめ
ネットワークインターフェイス層は、TCP/IPの第1層です。OSI参照モデルのデータリンク層と、同様にデータをやりとりするためのプロトコル(規約)として働きます。
ネットワークインターフェイス層は、MACアドレスで通信します。
住所に相当するIPアドレスとともに、経由地のアドレスとして、MACアドレスをMACヘッダ情報として書き込みます。
MACアドレスを書き込むことで、通信ルートが決まります。