記事では、音楽を視聴することを思い浮かべて、デジタル化が進んだ理由を分かりやすく紹介しています。①アナログ信号がデジタル信号に比べてノイズに弱いこと。②世の中の電子機器類がアナログ方式からデジタル方式に変わったこと。等の内容です。
レコードで聴く音楽は本当に滑らかなの?
近年では、音楽のツールもデジタル化が進んで、ほとんどアナログ音源で録音したものはなくなりました。
CDやミニディスクはデジタル信号ですし、ネットで配信される音楽は当然のようにデジタル信号です。
こんな時代になると、ドーナツ型レコードに録音した音楽は貴重です。最近になって、ドーナツ型レコードへの回帰が世界的な動きと聞きました。(今回は、この内容には触れないで内容を進めます。)
アナログ信号は連続した音声信号を、そのまま録音しているため情報量の多い信号です。デジタル信号のように「0」または「1」だけの集合体ではなく、中間値のある音源です。
その為、アナログ信号を録音したレコードが、聴く人によってはデジタル信号に比べて滑らかに聴こえるのは本当なのでしょう。
デジタル信号化が進んだ理由
ドーナツ型レコードに録音した音楽が、それほど耳に心地よいのなら、なぜデジタル化は進んでしまったのでしょうか?
人が住んでいる自然界では、ほとんどがアナログ音源信号です。そのため、電子機器の入力部ではアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路が使用されています。出力側は、デジタル信号をアナログ信号に戻すためのD/A変換回路を必要としています。
そんな余計な入出力部のインターフェース回路も必要になるのに、なぜデジタル信号化は進んでしまうのでしょうか?
《回路のデジタル化を促した理由》
- デジタル信号は、回路の小型化や低消費電力化を実現
- 無線通信は、回路のデジタル化を推進
- 回路のデジタル化は、高速通信を実現して世の中のニーズに対応
《音源としてのアナログ信号の弱点》
- アナログ信号はノイズに弱い
アナログ信号とデジタル信号の性質
自然界の音は、空気の振動で作られるアナログ情報です。アナログ信号をデジタル信号化するには、まず、一定の時間間隔で音の振動の高さ(波の高さ)を収集します。次に、電子機器の性能にマッチした所定の細かさで数値化します。最後に、「0」または「1」のデジタル信号(2進法)に変換して、デジタル信号になります。
「0」または「1」しかないデジタル信号は、高速に信号を伝達します。
デジタル信号は、LOWレベルの「0」またはHIGHレベルの「1」の2値だけです。そのため、「しきいちレベル」はノイズ源に対して、余裕を持って設定できます。さらに、デジタル信号は、劣化した信号波形の修復も簡単です。
何故、デジタル信号はノイズ源に対して、余裕を持って設定できるのでしょう。
まず、上記の「しきいちレベル」とは、信号電圧を読み取る電圧値と考えて下さい。
例えば、信号電圧が0ボルトをLOWレベルの「0」、信号電圧が2ボルトをHIGHレベル「1」としましょう。この時、HIGHかLOWの信号レベルを読み取る、しきいちレベルは、1V〜1.5V程の広い範囲で設定できるからです。
ノイズは、0ボルトや2ボルト付近に載っています。信号レベルは、1ボルト〜1.5ボルトの範囲で読み取れば良いので、デジタル信号は、ノイズに影響されにくい所で判定できます。
これに対して、連続したアナログ信号には中間レベルもあります。そのため、連続したアナログ信号にノイズが載ると、ノイズ源だけ取り去ることは困難です。
以上が、アナログ信号は、デジタル信号に比べて、ノイズに弱く、扱いにくい理由です。
信号が連続しているアナログ回路が扱いにくい理由
アナログ信号は連続しているため、中間レベルが無数に存在します。電子回路の特性上、中間レベルの電圧では、電流を流し続けなければなりません。電流が流れると消費電力が上昇して発熱してしまいます。
回路が発熱すると、寿命に影響するため、放熱しなければならなくなって小型化できなくなります。これに対して、デジタル信号は「0」か「1」しか存在しないため、省エネ設計・回路の小型化が可能です。つまり、回路設計者からみるとアナログ回路は扱いにくいのです。
まとめ
アナログ信号は、耳に心地よいと言われています。生演奏は、アナログ信号です。そんなアナログ信号をデジタル信号に変換してまで、デジタル信号化する理由は何でしょうか?
- デジタル回路は小型化や低消費電力化しやすくて扱いやすい。
- 無線通信技術が回路のデジタル化を推進。
- 高速通信には、デジタル化が必須。
- アナログ信号はノイズに弱い。
このような理由で、世の中の電子回路は、デジタル化が進みました。