アルミ缶のリサイクル率(2018年度)は、10缶中9缶を超える量でした。この記事では、アルミ缶の再生が成功した理由を纏めています。ゴミの分別に懐疑的な方も、アルミ缶のリサイクルの成功事例を見れば、分別の重要性の意識が高まるでしょう。
ゴミの分別はリサイクルに貢献しているの?
近年、ゴミを分別して破棄することは常識化してきましたが、ゴミを分別して再生することが本当に社会貢献になっているのか、疑わしいという気持ちになることもあります。
そこで、リサイクルの優等生と言われているアルミ缶について、実態を調べてみました。
アルミ缶のリサイクル率
アルミ缶のリサイクル率は、93.6%(2018年度)と超高率でした。このうちの71.4%は再度アルミ缶に使われ、残りは別のアルミ製品にリサイクルされていました。
2017年度は、92.5%、2018年度は、93.6%、2019年度は、97.9%。以上のデータはアルミ缶リサイクル協会に掲載されていたものです。
正直に言うと、これほど高率で再生されているとは思いませんでした、本当に驚かされました。
アルミ缶のリサイクル率は何故、これほど高率なのでしょうか?
アルミ缶がリサイクルしやすい理由
アルミ缶がリサイクルに適しているのは、次のように扱いやすいという特徴があります。
- アルミ缶に、鉄系の缶が混入しても簡単に分別可能。
(アルミニウムは磁石でくっつかないが、鉄系はくっつくため) - アルミ缶は、アルミニウムの他にマンガンやマグネシウムが含まれる合金だが、これらの割合は世界的に見ても同じため、缶や製造国が違っても同じ扱いで処理可能。
- アルミ缶のキャップは、本体と同じアルミ製のため、キャップを外す必要がない。
- アルミニウムは、金属類の中では低温度(700℃〜750℃)で溶けるため、再生エネルギーを小さくできる。
- アルミ缶には、製品のラベルが直接印刷されているので、アルミを溶かす時に飛んで無くなるため、余計な手間がかからない
アルミ採掘と再生時のエネルギー量の比較
アルミニウムを鉱物から取り出すには、酸化アルミニウムを多く含んだ「ボーキサイト」を精錬(せいれん)して不純物を取り除かなければなりません。
ボーキサイトの製錬は、電気分解の時に膨大なエネルギーを消費します。
一方で、アルミ缶の再生時にも熱は必要ですが、アルミニウムは他の金属と比較して低温で溶けるため、再生エネルギーを抑えることができます。
このような理由から、ボーキサイトを製錬してアルミニウムの地金を作る時と、アルミ缶などの使用済製品を溶かす場合を比較すると、再生エネルギーは、たったの3%で済むことが判りました。
まとめ
アルミ缶のリサイクル率(2018年度)は、10缶中9缶を超える量でした。
アルミ缶の再生率が、これほど素晴らしい理由は、アルミ缶の再生作業が扱いやすいことと、鉱物からアルミニウムの地金を作り出すことに比べて、再生エネルギーが極端に小さくできるため、経済的なメリットが大きいという理由でした。