数字のでたらめ度はランダム性です。ランダム性の高い数字は乱数と呼ばれて、近年では暗号化技術などで注目されています。この記事では、乱数が何故必要なのか、どんな場面で使われるのかなどをPC初心者にも分かりやすく紹介しています。
乱数の2つの種類
実社会では、でたらめな生活態度や、でたらめな発言などは、いい加減な人として嫌われます。ところが、でたらめな数字を羅列した、乱数は、特定の分野ではとても重んじられています。
乱数には、物理乱数と疑似乱数の2つの種類があります。乱数とは何なのかを知るため、これらから紹介していきます。
物理乱数
物理乱数は、均一に作られたサイコロを投げた時に出るような物理現象を使った乱数のことです。物理乱数は、完全なランダム性を狙ったものです。物理乱数には、次のようなものがあります。
- 半導体の内部から生じる熱雑音を使って乱数を発生させたもの。
- コンピュータに使われるハードディスクのアクセス時間の揺らぎから乱数を発生させたもの。
- 株価の変動を使って乱数を発生させたもの。
物理乱数の欠点
物理乱数は、予測不能で理想的なランダム乱数という点では素晴らしいものです。但し、コストがかかることや、乱数発生時間が長いこと、再現性を確認できないなどが欠点です。再現性は、最適化や再試験の検証の時に必要になるからです。
疑似乱数
理想的な乱数を発生させる上記のような、物理乱数では、多くの欠点があります。そのため、現実的な乱数発生方法として登場したのが、疑似乱数です。
疑似乱数は、数式を使って乱数に見える数列を生成したものです。疑似乱数は、特別な装置がなくてもコンピュータで高速に作り出せます。ただし、計算で作るため、どうしても特定の数字が出る確率が高いなどの規則性が出てしまいます。
疑似乱数は、このように真のランダム性を持ちませんが、計算方法と初期値を決めれば、再現性があります。そのため、最適化や再試験の検証には役立ちます。
乱数は何で必要なの?
地震予測のシミュレーションや自然災害予測など、不確かな現象の予測には確率論が使われています。確率を評価する時に大切なことは、規則性や傾向が見られないランダム性です。確率で使うランダム性とは、でたらめな数値です。
究極的な、でたらめな数値は、乱数です。そのため、乱数は地震予測や自然災害予測、インターネットのパスワードや、銀行カードの暗号技術などで使われています。
乱数の先端技術
疑似乱数は、物理乱数に劣ります。しかし、1998年に、広島大の松本真教授から発表された、メルセンヌ・ツイスター乱数は、高評価されています。この乱数は、疑似乱数ですが、シミュレーションの精度を損ねない高度なレベルです。
物理乱数には、時間がかかってしまう欠点があります。この欠点を克服した研究は、2015年に埼玉大の内田敦史教授グループによる、半導体レーザーカオス技術です。
半導体レーザーカオス技術は、1秒間に1兆2千億個の乱数発生に成功しています。
まとめ
ランダム性の高さが大切と言われる乱数には、物理乱数と疑似乱数の2種類があります。
- 物理乱数は、半導体の内部から出る熱雑音や、揺らぎなどから発生します。規則性のない真の乱数ですが、物理乱数取得には、コストや時間がかかります。
- 疑似乱数は、数式を使って計算で乱数を発生させます。そのため、ランダム性では、物理乱数に劣りますが、現実的な乱数発生方法として活用されています。
ランダム性の高い乱数
は、確率論で求められます。そのため、地震予測や自然災害予測、ネットのパスワードや、銀行カードの暗号技術などで使われています。
なお、物理乱数・疑似乱数ともに研究が進んでいて、両者とも欠点の少ない乱数の生成に成功しています。