電話では、会話中の相手とだけしか接続できませんが、インターネットでは複数のPCから同時にアクセスできます。 この記事では、電話とインターネット通信の仕組みの違いを、PC初心者にもわかりやすく紹介しています。 ネットの世界が身近になります。
電話機の回線交換方式
電話で会話する場合は、回線を占有しています。 そのため、接続先の違う相手と通信するには膨大な回線がつながっていなければなりません。
もちろん現実には、一つの電話機につながっているのは1回線だけです。
電話では、膨大な回線を接続しなくても済むように、交換機を使って回線を切り替えているからです。
電話のように交換機で回線を切り替える回線交換方式では、電話機と交換機の間は一つの回線で済みます。 ところが、電話の通話中には、他の電話機との接続は出来ません。
《通信で用いる「交換」の意味》
通信の世界ではデータを目的の相手に送り出すことを「交換」と呼び、通信回線をつなぎかえる方式を「回線交換」と呼んでいます。
パケット交換方式
電話の回線交換では、回線を占有してしまうため、データのやり取りをしていない隙間時間は無駄です。 通話をしている人にとっては必要な時間ですが、それを外から見ている人にとっては無駄に映るでしょう。
そこで登場したのは、一つの回線を共用して使うパケット交換方式です。 パケット交換は、目的の回線に隙間があれば、PC(パソコン)などからデータを小分けにしたパケットを送り出します。
PCなどから送付されたパケットデータは、パケット交換機でコントロールされて回線に送出されます。
《パケットとは》
パケット交換方式の「パケット(小包)」とは、ひとかたまりのデータを小分けして小さなサイズに分割したものです。 小分けしたパケットは、目的の宛先に送信されなければならないため、データの前には宛先の情報を含んだヘッダが付いています。
《パケット交換機の役割》
PCなどから送信されたパケットは、パケット交換機に送られます。 パケット交換機では、パケットの先頭に記載されている宛先に、パケットを送り出します。 そして、回線が使われている時には、一時的にパケット(データ)をとどめて、空くのを待つ役割をしています。
そのため、インターネットでは、回線が空いている時には早くデータが届き、混雑時には時間が掛かってしまいます。
ただし、パケット交換機の制御のお陰で、回線の共用が可能になって、無駄がなくなります。
コンピュータネットワークの交換方式
電話機で用いている回線交換方式は、回線を占有してしまいますが、確実に宛先に届くという利点があります。
コンピュータネットワークでは、何時でも、どこからでもアクセス可能でなければなりません。このようなコンピュータネットワークの性格上、複数台のPCからのデータ送り出しが可能という利点は、最も重視されました。
このような事情から、インターネットではパケット交換方式が選ばれました。
まとめ
電話では、会話をしている相手とだけ接続できますが、インターネットでは複数のPCから同時にアクセス可能です。
電話機で使われる回線交換方式は、交換機で回線を切り替えて回線を占有するため、接続中の相手とだけつながります。ところが、回線を共有して使うパケット交換方式では、複数台のPCなどから同時アクセスが可能です。
パケット交換方式では1つの回線にさまざまな宛先のデータが混在していますが、パケット毎に宛先が付いているため、目的の宛先に届くようになっています。
なお、パケットの形式はプロトコル(ルールや約束ごと)ごとに定義されています。例えば、イーサネット規格では、パケットと同様にデータを小分けしたものを「フレーム」と呼んでいます。
厳密な定義はありませんが、ソフトウェア処理を中心にする場合に「パケット」と呼び、ハードウェアと関係している場合は「フレーム」と呼びます。