コンピュータネットワークでは、ルーターという用語は頻繁に登場します。但し、インターネットに接続する時に使われる機器ということは知っていても、意外にルーターの役割までは知られていません。この記事ではPC初心者でも分かるように紹介しています。
ルーターとは
ルーターという言葉は、元々は、木工材加工等で使われる機械のことでした。
ところが、近年ではコンピュータネットワークで頻繁に使われる用語です。ルーターは、異なるネットワーク間で通信をするための通信機器です。
例えば、家庭内のLAN回線のスマホやプリンタ、PC等を外部の回線と接続する時には、ルーターを介して通信しています。
ルーターの役割
インターネットでは、通信回線を多くの利用者で共有して使います。そのため、通信データ(パケット)を制御して、宛先に届けないと正しく宛先に届かなくなるでしょう。
ルーター(Router)は、通信データが正しく宛先に届くように制御しています。つまり、ルーターの役目は、ネットワークを繋いでパケットが宛先に届くまでの道案内です。
道案内役のルーターは、宛先のルートを決めることや、送付するデータ(パケット)のサイズ調整をしています。
ルーターの道案内方法
異なるネットワークにデータを送信する時には、データ(パケット)は、複数のルーターを通って宛先に届けられます。
道案内役として、ルーターは経路を決めなければなりません。ルーターが行う経路の決定作業のことをルーティングと呼びます。
ルーティング方法
道案内を上手にするため、ルーター内のデータリンク層でパケットを回収します。回収したパケットの情報(IPアドレス)と、ルーターが所持している、ルーティングテーブルを比較して、ルートを決めます。
ルーティングの流れ
ルーター内のネットワーク層は、データリンク層からパケットを受け取ると
、ルーティングテーブルを見て、次の転送先を決めます。その上で、パケットをデータリンク層に戻します。
データリンク層では、さらにMACアドレスを書き込んで、データ(パケット)を送信します。
ここで、IPアドレスは、データを届けるべき相手の宛先です。そして、MACアドレスは経由するルーターのアドレスになります。
IPアドレスは、宛先に届くまで同じですが、MACアドレスは、ルータを経由するたびに書き換えられます。
ルーティングテーブルの内容
ルーティングテーブルには、次のような内容があります。
- 宛先ネットワーク
ネットワークアドレスとサブネットマスク情報(但し、ルーターが把握しているもの) - ネクストホップアドレス
上記のネットワークに届けるための、次の転送先ルーターのIPアドレスとサブネットマスク情報 - メトリック(判断基準)
数値を書きます。記載された数値によって経路の最適度が分かります。数値が小さい程、最適です。 - 情報源
この欄には、ルーティングプロトコルで、自動登録か、手動登録なのかの判別文字が記載されます。 - 経過時間
経路登録から経過した時間が記載されています。
ルーティングの種類
ルーティングには、「静的」と「動的」ルーティングがあります。
静的ルーティング
静的ルーティングは、管理者によって登録されたものです。ルートが決められているため、例え1ヶ所でも、何らかの不具合があると、データは届けられなくなります。
動的ルーティング
動的ルーティングでは、ルーティングプロトコルを使って、ルーターどうしで情報交換をしています。そのため、どこかの経路で不具合が起こっても、別のルートを経由してデータが届けられます。
尚、ルーティングプロトコルの大きな分類では、次の2種があります。
《IGP:緑色線》
IGPは、同じ社内のような、同組織内のルーター間でのやり取りをする時のプロトコルです。
《EGP:灰色線》
他組織のネットワークでのルーター間で通信する時のプロトコルです。
まとめ
ルーターは、ネットワークを繋いでパケットが宛先に届くまでの道案内をする通信機器のことです。
そして、宛先のルートを決めることや、送付するデータ(パケット)のサイズ調整をする重要な役目をになっています。