経済ニュースで頻繁に報道される、円高や円安とは何を表しているのでしょう。この記事では、これらの意味と、ちょっと分かりにくい円高と円安になるメカニズムを、分かりやすく紹介しています。円高や円安のことが分かると、経済ニュースの見方も変わります。
円高とは?
円高とは、他国の通貨に対して円の価値が上がることを意味します。円の価値が上がると言うのは、同じ円で、他の通貨を沢山買える状態です。
日本で一般的に使われる円高や円安とは、米国のドルに対しての円の価値のことを言っています。
例えば
1ドルを100円を基準にした場合に、為替レートが、1ドル=99円になると、1円の円高です。逆に、1ドル=101円になると、1円の円安という言い方になります。
つまり、円高とは、米国の1ドルを購入するのに要する費用が、その時の金額よりも高くなったことを意味しています。
尚、ニュース等で報道される、その時の金額とは、前日までの為替レートのことです。円高なのか円安なのかの傾向を把握するため、前日の為替レートを基準にしています。
円高のメリットとデメリットとは?
円高では、少ない円でドルを購入できます。その為、部品を購入する輸入業や、輸入品を使って製造する会社は、円高の分だけ恩恵をうけられます。
逆に、製造業でも製品を海外に輸出する会社は、相手の会社から見ると、値段が高くなるため、売りにくくなります。
一般的に、会社間の契約は、事前に値段を締結することが多いです。その為、締結後に円高になると、輸出する製品の値段は、製造国の日本では、円高になった分だけ得をします。
但し、相手国は、高く買わされたと感じてしまうでしょう。
《1ドル=100円が90円になった時の例》
会社間で契約した時、商品の値段が1000円だったとします。この時の、ドル円の関係は、1ドル=100円でした。そして、契約後に、円高が進んで、1ドル=90円になると、相手国は、1000円分に相当する、ドルを日本の製造会社に支払うことになります。
つまり、円高が進んで1ドル=90円になると、1000円に見合うドルを余分に支払うことになるからです。
海外からみると日本の商品の値段は、高く感じられます。逆に、日本から海外旅行に行く人にとっては、物の値段が安く感じられるでしょう。
為替レートが変動する理由
為替レートとは、異なる二種類の通貨を交換する場合の、交換率のことです。通貨レートは、特殊な例を除くと変動相場制のため、その時によって変わります。
銀行間で通貨を交換する場合も、交換レートは変わります。
その原因は、需要と供給の力が作用するためです。
《需要と供給の力の関係》
需要と供給の関係は、欲しいという人が多いか少ないか、または供給する側の商品が豊富にあるのか、少ないのかということです。
欲しい人が多くて、供給する物が少なければ、必然的に値段は高くなります。逆のケースでは、売れないため、商品の値段は安くなります。
需要と供給の力の関係とは?
上と同じことが、ドルと円という通貨で比較した時に、どっちの通貨に価値があるのかで、強弱は決まります。
これが、需要と供給の力の関係です。
つまり、為替レートの変動理由は、その通貨を使用している国力と言っても良いでしょう。
国力を決める要因
一般的な国力とは、経済力や軍事力のことですが、通貨レートの場合は、経済力が大きく影響します。つまり、景気が良くて貿易黒字なら安心感が増して国力は強いと判断されます。
当然ですが、安定した国力が必要のため、安定した政治力も求められます。
まとめ
これで、円高と円安の仕組みは分かったでしょう。
ただし、昔の日本は米国のドルと円を、1ドル=360円に固定していました。では、今日、固定相場制にしないのでしょうか?
固定相場制は、一時的には良いですが時々刻々物価は変動するし、相対的な国力も変わります。そのため、ずう〜と変わらない固定相場では、両国間に不公平感が生まれます。
これに対して、変動相場制は相対的な不均衡が生まれると、直ぐに均衡を保つような力(フィードバック)が働きます。そのため、現在では変動相場制が採用されているのでしょう。