TCP/IPのインターネット層について紹介しています。TCP/IPは4層ですが、一層ずつ振り返って、概要を知るだけでも、ネットがどのように構成されているのか、分かったような気持ちになるでしょう。ウェブは、遠い世界と考えている方も楽しめます。
インターネット層とは?
インターネット層は、TCP/IPの第2層です。送信側のコンピュータから受信側のコンピュータまでデータを送り届けるためのプロトコル(規約)として働きます。
インターネットには、様々なルートがあります。そのため、各ルートの分岐点のルータでは、正しい宛先にデータを届けるためのチェックをしています。チェックは、IPアドレスで行われます。
そのため、インターネット層では、IPヘッダが追加されて、宛先のIPアドレスと送信元のIPアドレスを書き込んでいます。
送信元のIPアドレスの活用方法
送信データは、パケットに分割して送り出します。そして、それぞれのパケットには、送信元のIPアドレスが記載されています。
このIPアドレスは、往復はがきの返信用はがきに記載されている宛先に相当します。
インターネットを閲覧するユーザは、閲覧画面をクリックして、端末に要求したデータが表示されることを希望しているからです。
尚、送信元のIPアドレスを記載するのは、データを要求したコンピュータが、何処にあるのかを知らせるためです。
送信元(要求元のアドレス)が分からないと、どこに送れば良いのか分からなくなるからです。
インターネット層がコネクションレス型通信の理由
TCPプロトコルでは、通信相手と確実に情報の受け渡しをするため、送信元と、通信相手間でやり取りをします。
この方法は、ソケットというメモリ空間に、接続を制御するための情報を記憶して行います。
ところが、インターネット層は、このような、ソケットというメモリ空間を使っていません。そのため、インターネット層は、コネクションレス型通信と呼ばれています。
コネクション型通信は送信側が、受信側からの情報を受け取ってから次の送信を始める方法です。そのため、しっかり相手の状況を把握しながら正確な通信をしています。
これに対して、コネクションレス型通信は、相手の状況は、お構いなしにデータを送信する方式です。場合によっては、通信相手に、こちらのデータが届かないこともあるかもしれません。
このように、コネクションレス型通信は、コネクション型通信に比べて通信品質は落ちます。但し、コネクションレス型通信は、双方で確認のやりとりをしないので、通信時間が短縮されます。
インターネット層は、IPヘッダに宛先のIPアドレスと、送信元のIPアドレスを記載する方式で通信します。インターネット層は、通信接続に、ソケットは使用しないで通信するコネクションレス型通信です。
1990年よりも前の時代は、長距離通信の信頼性が低かったのですが、1990年代からは、通信の品質信頼性は向上しました。そして、インターネットが普及し始めると、通信の高速化が求められる時代になりました。
こうして、ネットワーク接続に、コネクションレス型のインターネットプロトコル(IP)が使われるようになったのです。
こうして、TCPプロトコルと、IPプロトコルが一緒のTCP/IPのインターネット層は、コネクションレス型通信になったのです。
まとめ
TCP/IPのインターネット層(第2層)について、概要を紹介しました。
もともと、ウェブ閲覧をするインターネットは、軽やかな動きが求められていました。但し、インターネットが作られた当時の通信品質は低いため、時間が掛かっても、コネクション型通信が必要だったようです。
ちょっと前までの時代を振り返ると、近年の技術の進化には、驚かされるばかりです。