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核融合反応2|地球上で核融合反応を実現するための3つの条件

眩い恒星

核融合反応の2回目です。地球上で核融合反応を実現するためには、3つの条件が必要です。それぞれの条件は、同時に達成しなければ核融合反応は実現しません。この記事では、それぞれの条件が、なぜ必要なのかを紹介しています。

核融合反応

今回は、核融合反応の2回目です。とっつきにくい内容のため、ちょっとだけ復習します。

核融合反応とは、水素(H)のような軽い原子どうしがぶつかり合って、少し重い原子ができる反応のことです。この時、融合した原子の質量は、ごく少しだけ質量を失っています。(2つの原子が1つになる時に、元の2つ分の質量よりも少なくなっています)

この少しだけ失われた質量が、莫大なエネルギーを生み出します。これが、核融合反応でした。

太陽などの恒星では核融合反応が行われていますが、地球は巨大な星ではないので、引力による圧縮力で高密度化できません。そのために、核融合反応するまでの条件が厳しくなって、まだ実現していません。そのため、実験では、水素(H)よりも核融合反応しやすい、重水素(D)や、三重水素(T)、ヘリウム3(3He)が使われています。

勘違いが多いのは、現在の原子力発電所で用いられている核分裂反応との区別です。

原子力発電所は核融合反応ではなくて、ウランやプルトニウムなどの重い原子核を割った時に発生する核エネルギーの分裂反応で発生する熱エネルギーを使っています。

現在、廃炉対応中の高速増殖炉(もんじゅ)も、核融合反応ではなくて、核分裂反応です。

太陽などの恒星に比べて小さな地球は、核融合反応をするためにハンディキャップがあります。地球上で核融合反応を起こすための条件は、次のようなものと定義されていて、世界中の科学者たちがこの3つの条件を達成しようと取組んでいます。

  • プラズマの温度が1億度以上になること。
  • 1立法センチメートル中の原子核の数が100兆個以上あること。
  • プラズマを1秒以上閉じ込められること。

以上は、前回(1回目)の復習です。

地球上で核融合反応を実現するための3つの条件の詳細

考え込む女性考え込む女性

 

地球上で核融合反応を実現する3条件が必要となる理由をそれぞれ紐解いて詳しく紹介します。

何故、プラズマの温度が1億度以上になることが必要なの?

核融合反応は、2つの原子核をぶつけて、融合させなければなりませんが、原子核の周りには電子が回っていて、原子核どうしはぶつかりません。

周囲の温度を1万度以上にすると、電子はプラズマになって、原子核の周りから離れて自由に飛び回るようになります。これで、原子核どうしがぶつかり合うようになりますが、まだ速度が不足しています。

核融合反応を起こすには、原子核を1,000km/秒の速度にしてぶつけなければなりません。原子核を1,000km/秒の速度にするには、もっと高温にして高エネルギーのプラズマにすることで可能になります。つまり、核融合反応を実現するための、原子核を1,000km/秒にするために必要な温度が1億度以上だったのです。

なぜ、1立法センチメートル中の原子核の数が100兆個以上必要なの?

「1立法センチメートル中の原子核の数が100兆個」というのは、核融合反応を起こした時の失った質量の密度に相当します。これは、空気の密度の1/30万ほどのうすさです。本音を言うと、核融合を起こしやすくするため、もっと密度を上げたいのですが、密度をあげると、閉じ込めることができなくなってしまいます。

つまり、核融合を起こしたプラズマが逃げ出さないように制御する密度の最低ラインのことです。

なぜ、プラズマを1秒以上閉じ込めなければいけないの?

プラズマは、磁石の力で逃げ出さないようにしています。プラズマが大きなエネルギーを持つと、磁石もそれに応じて強力にしなければなりません。これと同じように、プラズマの温度も周囲に逃げてしまうため、工夫をしています。

もしも、プラズマの温度を1秒以上閉じ込めることができれば、核融合反応が起きた時には、自らのエネルギーでプラズマを温めてくれます。つまり、正帰還がかかって温度を維持できるようになります。

プラズマの温度を1秒以上閉じ込めなければならないのは、核融合反応による正帰還がかかるために必要な時間です。

これらの条件は、地球上で核融合反応を起こしてエネルギーを取り出しても、核融合反応が継続する条件と言い換えても良いでしょう。そのため、3つの条件は、同時に満たさなければなりません。

ポイントのまとめ

地球上で核融合反応を実現するための3つの条件を全て満足すれば、核融合反応は起こります。

核融合反応は、まだ実現できていませんが、人類の夢(理想)のエネルギーと言われています。何故、夢(理想)のエネルギーなのかについては、「核融合反応3」で紹介します。

    

           

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iyasaretaihito
子どもの時から、昆虫や恐竜、宇宙などに興味がある理科大好きな理系人間です。 会社は半導体設計関連会社に勤務して、60歳で定年退職後は趣味に没頭する、のん気なおじさんです。