5Gは、4Gに比べて理論値で100倍の速度になると言われています。この記事では、5Gの通信速度が速くなる理由や、5Gに使われているビームフォーミング技術、その他の注目技術(ネットワークスライシング、エッジコンピューティング)の内容を紹介しています。
5Gにすると通信速度が速くなる理由

通信速度を高速にして、多くの信号を送れるようにするには、データ伝送に使われる周波数の幅、つまり周波数帯域幅を広げなければなりません。
ところが、移動体通信システムに適している周波数帯(プラチナバンド:700〜900MHz)は、既にさまざまなサービスに割り振られていて、帯域幅は制限されています。
そのため5Gでは、空きの多いミリ波(高周波)を使うことで、4Gで15kHz幅に固定されていたサブキャリアを広げられるようにしました。このため、サブキャリア1個で送信できるデータ量を増やせるようになって、大容量化に成功したのです。
但し、高周波は、曲がりにくいため、山や建物、樹木などの影響を受けやすく、遠方まで飛ばそうとすると減衰してしまいます。信号が弱くなることを見込んで、アンテナ出力を上げると、強力な電磁波による健康被害も懸念されます。
この対策のため5Gでは、高周波の欠点を、ビームフォーミング技術を使うことで解決しています。
ビームフォーミング技術
5Gを実現するのに不可欠な技術といわれているのが、ビームフォーミングです。従来の方法で、アンテナから電波を発信すると同心円状に進んで行って、遠方になる程、電波は小さくなります。
ビームフォーミングは、電波を届ける相手に向けて指向性を高めたもので、電波を楕円形にして発信します。ビームフォーミングで発信すると、距離に対する受信電波の強さが制御されて遠方まで届くようになります。
5Gでは、より高度なビームフォーミングを実現するため、Massive MIMO(マッシブ マイモ)という、多くのアンテナ素子を使った技術で、データの無線送受信を行っています。
5Gのその他の注目技術
5Gでは、広範囲でさまざまな用途に応じて、混雑しないようにサービスを提供するため、ネットワークスライシングと、より素早い応答ができるように、端末の近傍にサーバを分散配置するエッジコンピューティングを採用しています。
ネットワークスライシング
ネットワークスライシングは、用途に合わせて、通信ネットワークを仮想的に分割して最適化しています。
5Gでは、従来方式のようなさまざまな通信がごちゃごちゃして混在する状態で混雑することがないように、この帯域では低遅延を、別の帯域では大容量などのネットワークリソース配分を行っています。
エッジコンピューティング
インターネットを通じてクラウドサーバで情報処理をすると、遅延をする要因になります。
5Gでは、エッジサーバと呼ばれる現場のサーバを分散配置して、そこでデータの蓄積や解析をすることで、データ処理の応答性を向上させています。
ポイントのまとめ
5Gで高速通信ができるのは、空きの多いミリ波(高周波帯域)を使うことで、サブキャリアを広げられるようにしたため、サブキャリア1個で送信できるデータ量を増やせるようになって、大容量化を実現したことと、ビームフォーミング技術で、より遠方まで信号を送信しているためです。
5Gでは、より高度なビームフォーミングを実現するために、Massive MIMO(マッシブ マイモ)という、多くのアンテナ素子を使った技術でデータの無線送受信を行っています。
また、5Gでは、広範囲でさまざまな用途に応じて、混雑しないようにサービスを提供する、ネットワークスライシングと、より素早い応答ができるように、端末の近傍にサーバを分散配置するエッジコンピューティングを採用しています。