地震の揺れの大きさやエネルギーの指標には、震度とマグニチュードがあります。震度の指標は、見直されたこともありますが、ちょっとわかりにくいようです。記事では、地震の揺れを表す指標の震度の定義の変遷や意味などを、分かりやすく紹介しています。
地震の震度の最高は、なぜ7なのだろう
現在の最高震度は7です。これは、1948年に発生した福井地震が、震度6では表現しきれないために見直された結果、1949年1月に追加された階級(激震)です。
震度7が初めて適用されたのは、1995年に発生した阪神・淡路大震災です。この時の教訓から、1996年以降、震度観測点は大幅に増強されています。
気象庁が定めた震度の階級
現在の震度の階級は、1996年に制定されています。地震の観測点が増えて計測震度計による自動観測速報が報道されようになったことや、過去の地震データなどから作られました。
制定に際しては、震度5以上になると、急激に被害が大きくなること等を考慮しています。
考慮とは、震度5と6を弱と、強の2つに分けるようにしたことです。震度の階級は、震度0〜震度4、震度5弱、震度5強、震度6弱、震度6強、震度7までの10段階になっています。
尚、1996年に新たに設定された震度7の定義は「それ以上の被害は想定しえない最大規模の被害をもたらす揺れ」です。つまり、超巨大地震を全て含む定義にしています。
過去に最高震度を6にした理由
現在の最高震度は7ですが、古い定義の最高震度は6でした。理由は、次のようなものです。
震度7クラスの規模の揺れ範囲は限られていたため、観測点が少なかった時には、震度7クラスの規模の揺れは、簡単には見つけられませんでした。
そのため、震度6以上は、実態に合わないと想定したのでしょう。
最高震度の見直しの経緯
現在の震度7は、1948年の福井地震が、震度6では表現しきれないため、1949年1月に追加された階級です。
現在の最高震度は7ですが、古い基準では6でした。これは、次のような理由です。
- 地下に断層があって、震度7相当の場合、平野部や盆地に断層が広がりやすく、山地方向には広がりにくい。つまり、震度7相当のエリアは狭く、人に与える被害は少ないと想定された。
- 震源の断層が深さ20km以上の場合は、震度7相当になりにくい。
- 震源付近での大きな揺れは、断層方向ではなくて、断層に直行することが多いため、狭い領域になると想定される。
などの理由から、震度7相当の地震エリアは狭いと想定されます。そのため、実害という点で、震度6を最高レベルにした方が良いと考えたのでしょう。
まとめ
地震の震度7が最高になった経緯を調べると、気象庁も震度の階級や定義を決めるのに相当、苦慮したようです。
震度の階級は、関東大震災の規模を想定して作られました。そして、震度7相当になる地域が狭い領域と想定される為に、震度6を最高レベルにしたのでしょう。
現在の震度7は、1948年に発生した福井地震が、震度6を超えたために見直されて追加したものです。
その後、震度7相当の阪神・淡路大震災発生後、観測地点の増強や、計測震度計による自動観測速報も行われるようになりました。
将来、震度の範囲は変更されるかもしれません。但し、現時点では過去の地震分析結果などから、震度7程度の規模を最高レベルにするのが実態にあっているのでしょう。